いずれは事業統合を進めたいとまで思っていた中でのバブル崩壊

国内の自動車メーカー同士で行うはずだった小型車共同生産の失敗

休場(現地生産しない)すれば、負けも同然である〉こうした切羽詰まった気持ちから飛山は、最後に富士重の提案を受け入れ、新会社の出資は飛山一男富士重51%、いすゞ49%の案を呑んだ。4月には田島、飛山両社長がデトロイトを訪問してGM会長のロジャー・スミスの了解も取り付けた。前後して興銀の役員会でも議題になったが、富士重が主導権を握ったことから、反対したのは6月下旬に日産に移籍することが内定している常務の村松敦(後に副社長)ただ一人だった。

日産は年初にスマーナエ場で受託生産を受け入れる返事をしたものの、その見返りに国内での委託生産の打ち切りを通告している以上、正面切って反対はできない。そして5月19日、電撃的に米国で小型車を共同生産すると発表した。世界の自動車産業が液状化現象を起こしつつある90年代後半ならともかく、まだ厳然と資本の論理がまかり通っていた80年代半ぼである。資本系列を超えた提携に、大手メーカーは新たな合従連衡の動きが出てきたと警戒心を強めた。

FI統合はなぜ失敗したか。富士重といすゞの米小型車共同生産は、本格的な「FI提携」に向けての第一歩である。富士重社長の田島といすゞ社長の飛山には、口にこそ出さなかったが「将来、形態はともかく事業統合を進めたい」との暗黙の了解があった。その前提は米国工場が軌道に乗り、トップのみならず従業員の問に「両社は米国で一緒にやって成功した。それなら国内でも……」というムードが自然発生的に出ることである。合弁会社の「スバル・イスズ・オートモティブ」(SIA)が、インディアナ州ラフィエットに建設した新工場は、日本経済がバブル景気に浮かれていた89年9月に完成。
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